後期から発表授業が急増しててんてこ舞い。
ずっとパソコンに向かってると鬱々としてくるのでたまに外に出て空見たり。
時間がない時間がないと言うてても、人間が勝手に区切って「ない」て言うてる
だけで時間はいつもそこにあるやんなあと思ったり。
そうは思ってても回り全体がその「区切った時間」に従った生活なので、
自分1人呑気にするわけにもいかずやはり私も「時間がない」と思うことしばしば
なのです。草原に寝転がってはあ〜と深呼吸したい気分。草とか木とか空とかが
すぐそこにあるのは幸いです。そういうものに触れることで自分を取り戻せる気が
します。ただの自分になれる気がします。< だれかと、あなたと、わたしの木 > / 長田弘


何もないところに、
わたしは、木を1本、植えた。
これが、わたしの木。


わたしの木のそばに、
あなたが、木を1本、植えた。
木が2本。わたしたちは林になった。


わたしたちの林のむこうに、
だれかが、もう1本、木を植えた。
木が3本。こうして林は、森になった。


森は、歌がうまれるところ。
森のなかでは、ものみなすべてが歌。
森のことばは、歌なのだ。


日の光は、日の光という歌。
風は、風の歌。雨は、雨の歌。
森の静けさは、森の静けさの歌。


葉は、葉の歌。緑は、緑の歌。
鳥たちは、鳥たちの歌。
夜は、夜の歌。


東の空がわずかに明けて、
空気が透き通ってくる。
朝が遠くまでひろがってゆく。

木々の影がしっかりとしてくる。
草のかげの虫。花々のにおい。
蜂の翅音。石のうえのとかげ。


森には、何一つ、余分なものがない。
何一つ、むだなものがない。
大事なのは、そこに在るということ。


1本の木を、植えよう。
そして、その木が、
天を突くほど、大きくなったら、


その大きな木の下で会おう。約束しよう。
わたしたちは新鮮なストロベリー・ケーキをもってゆく。
そのときは誰もかなしみをもたずにきてくれ。