< 雲 > / 谷川俊太郎
今朝は雲が大層美しかった
心をもたずしかしさながらひとつの心に照らされているかのように
自らを輝くにまかせたまま
それはひととき慰めのように流れていった…
私の信じ私の愛することの出来る
さまざまなものがある
それらが私を生かし続け
それらが私に心を与える
はかなさのままに
ひとの心は計り難い
あまりに遠く或いはあまりに近く…
だが樹が生き 人が生きる
たしかな時と所とをもち続けながら−
今朝私は心に宛てぬ手紙を書く
谷川さんの詩はいつも前向きな気持ちになるので好き。普通の現実の幸せを詠ったものが多くて。