嵐の後


昨夜は台風で電線が切れて長崎市内の半分が停電。その放送を聞いた母親が廊下に走ってゆき、「うわあ、真っ暗!」と騒いでるから私も見に行ったら、ほんまに外灯も何も点いていない真っ暗闇。「うわ真っ暗!すごいっ」と言ったら「雨戸閉まってるもん」。………えええええ!!何してんのお母さん!何で気付かへんねん私!改めて雨戸を開けて見てみますと、確かに向こうの山一帯が真っ暗でした。走る車だけが明るくて。でも我が家の辺りは普段どおり。何や何や〜、びっくりした。うちだけ明かり点いてんのかと思ったやん。明るい部屋から暗い廊下に移って鳥目やったとはいえ・・・気付かへん自分にもびっくりしました。本日は台風一過後の晴天。庭は大荒れ、麓では電気の復旧作業中の様です。



録画しておいた『僕たちの戦争』。あんまり暗くならずに観られました。でも出征シーンだけで泣きそうになる私なので人間魚雷の特攻シーンはやはり辛かったです。「俺は俺の為に突っ込むんだ、国の為なんかじゃない。俺の為に…南(彼女)の為に、南の為に」。誰でも最後に想うのは国なんかじゃなくって、お母さんでありお父さんであり好きな人のこと。でも二度と、誰にも、こんな自分に言い聞かせる様にして死んでいって欲しくない。<今年>



涙があるだろう
今年も
涙ながらの歌があるだろう
固めたこぶしがあるだろう
大笑いがあるだろう今年も
あくびをするだろう
今年も
短い旅に出るだろう
そして帰ってくるだろう
農夫は野に
数学者は書斎に
眠れぬ夜があるだろう
だが愛するだろう
今年も
自分より小さなものを
自分を超えて大きなものを



くだらぬことに喜ぶだろう
今年も
ささやかな幸せがあり
それは大きな不幸を忘れさせることはできぬだろう
けれど娘は背が伸びるだろう
そして樹も
御飯のおいしい日があるだろう
新しい靴を一足買うだろう
決心はにぶるだろう今年も
しかし去年とちがうだろうほんの少し
今年は



地平は遠く果てないだろう
宇宙へと大きなロケットはのぼり
子等は駆けてゆくだろう

今年も歓びがあるだろう
生きてゆくかぎり
いなむことのできぬ希望が

     
    (谷川俊太郎 『はるかな国からやってきた』より)