泣ける2ちゃんねる』という本。
堂々と「泣ける」と銘打つ所が何か嘘くさい、と思いつつ読んだらめっちゃ泣き
ました。お父さんに向けてお母さんに向けて、子どもに向けて友人に向けて沢山
の投稿があり。皆色んなことがあるね。街ですれ違うだけの人にも家族や友人や
恋人がいて、毎日泣いたり笑ったり。
良い人って沢山いる。普通の一般市民の中に立派な人や善良な人はほんまに
沢山おるんやな。< おばあちゃんからの贈りもの > 投稿者/氏名不詳
東京に出てきたばかりの頃、大学までの電車賃を浮かすために自転車を買った。
買って2日目に盗まれた。
俺の田舎では自転車にカギをかけるという習慣が無かった。実家に電話したら
昼間だったために留守番中のばあちゃんが電話に出た。
ばあちゃんは耳が遠いので話すのが面倒くさいから実家にいるときはほとんど
会話らしい会話をしたことが無かったんだけど、一人暮らしの寂しさもあって
いっぱいしゃべった。
「東京の人間は悪人ばかりなんだよ。自転車すぐ盗まれたよ」と言ったら
「ふーん、東京は恐ろしかねぇ」。
それからしばらくはマラソンして大学まで通った。
ある日、実家から送られてきたダンボール一杯のミカンの中にばあちゃんから
の手紙とボロボロの5000円札が入っていた。
手紙には「これで自転車をかってください。おげんきで」とだけ書いてあった。
泣けた。< だいじ > 投稿者/子持ち男
1歳9ヶ月の息子。最近「だいじ」という言葉を覚えた。嫁さんが今朝、息子を
机につかまらせておむつ替えをしている時の息子の行動。
机の上に置いてあった
手放すことができないお気に入りのトレーナーを触って
「だいじ」
次にお気に入りのプラレール用の列車を触って
「だいじ」
最後に、振り返って後ろでおむつを替えている嫁さんに触って
「だいじ」


幸せだなあ、と思った。




藤沢周平の口癖は「普通の人が一番偉い」でした。
だから彼の小説の中の人物は、武士でも医者でも町人でも皆普通の人。
名も無い人が殆んど。その目線が好きで。私も普通の人やからかな。
泣ける2ちゃんねる』も普通の人の投稿ばかりやったから泣けたのかもしれ
ない。2ちゃんねるには良いイメージはなかってんけど、色んな人がいるって
ことやね。