三浦しをんの『風が強く吹いている』。駅伝の本。
私は長距離走がとっても苦手なので、長距離ランナーという人達には思わず尊敬
の念が湧きます。私にとっては長距離走は頼まれたって走りたくない代物ですが、
これに情熱をかける人達が世の中には沢山いるわけで。
「走らなくたって死なないのに、人は何で走るんだろう」という台詞を昔聞いた
ことがあります。
走らなくたって死なないけど、ランナーにとっては走っていなきゃ楽しくない、
生きてる感じがしないんやろな。
「描かなくたって死なないのに」「歌わなくたって死なないのに」
それをしてなきゃ自分は生きていけない、っていうのが人間には多いな。
刺繍でも料理でも、皆それぞれ自分を何かで表現してる。
私にとって「これが無きゃ生きていけない」というものは何かってたびたび考え
るんやけど、よく分かりません。
本が無きゃやっていけないのは確かやけど、これは自分の表現ではないし、
絵はずっとちょこちょこ描いてるやろうけど「生きていけない」ほどの情熱は
かけていないし、何やろ。
誰かと美味しいご飯を食べてるとか、夜通しお喋りしてるとか、夕焼けの色に見惚
れてるとか、そういう時間の方がよっぽど「これが無きゃ生きていけない」もの
やなあ。