「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。
例えば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。
もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんな風に伝えるかって。


「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンパスに描いてみせるか、
いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」


その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・その夕陽を見て、
感動して自分が変わってゆくことだと思うって」



人の一生の中で、それぞれの時代に、自然は様々なメッセージを送っている。
この世へやって来たばかりの子どもへも、去ってゆこうとする老人にも、同じ自然がそれぞれの物語を語りかけてくる。


―――星野道夫旅をする木』より