『本を読むわたし』。
華恵という15歳の女の子が書いたブックレポート。
初めて買ってもらった絵本、アメリカから日本に越して来て不安だった頃に知っ
た絵本、気まずかった友人と仲直りするきっかけになったシューマンの伝記、
好きな人と登場人物が重なる本。
一冊一冊、思い出の絵本や本にまつわる思い出が書いてあり。
至って普通のことしか書いてないのだけれど「これは小説?」と思ってしまう。
当たり前の日常の行動や感情がつづられているのに、日記ではなく読み物に
なっている。
感じていることを言葉で表現出来る人という感じ。
豊島ミホの『檸檬のころ』を思い出しました。
ある高校を舞台にしたそれぞれの青春生活。青春時代であるというだけで地味
な青春生活なのに読み物になってる本。
派手な設定で綺麗にまとまってる本も面白いけど、地味なのに読ませる本は
「おお?あなたすごいねっ」と言いたくなります。
言葉にしなきゃ伝わらないこともあるし、言葉にしたら伝わらないこともある
けど、自分の中のものをちゃんと言葉で表せるっていうのは素敵な才能やわ。